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半年ほど前、まだ若い男性が置き薬を持って私の事務所まで飛び込み営業にやって来ました。
暑い日でした。額に汗を掻き、足元は白いスニーカーでした。おそらく新人研修です。私は
「うちは○○薬品さんをとってるから」と言い、申し訳ないからと冷たい缶ジュースを1本
手渡しました。先日、その男性がひょこっと現れました。彼は、半年前のことが忘れられず、
またやって来ました。どこに行っても門前払いにされたそうです。しかし、この会社の人は
優しかった。とっても嬉しかったと言ってくれました。
私は、経営分析や企業診断等では表れることのないその会社の「素」を知る方法をふと考えました。それは、その会社の社員が作り笑顔で接することのない相手に訊ねれば分かります。その相手とは、宅急便の配達員です。どんな会社にも宅急便の配達員は伺います。すると、その会社の最初の社員と目が合います。そこでその社員が、どんな態度を取るのかがすべてです。いくら社長が立派な人でも、最初に出会った社員が無愛想だったらどうでしょうか。きっと配達員は、悪い印象しか抱きません。どれだけ分厚い経営計画書を作ったところで、なんの意味もありません。私は、ちょっと前に、お昼時を狙って近くにある宅急便の営業所に向かいました。そして、そこから出てきた優しそうな男性に声を掛けました。「どんな会社が多いのですか?」そのようなことを私は訊ねました。すると、その男性は、雪が降っている日に
熱い缶コーヒーを差し出してくれた人、会うたびに笑顔で「ご苦労様です」と
声を掛けてくれる人、階段で会ったとき一緒に荷物を運んでくれた人のことを
どれも嬉しそうな顔で話してくれました。だから、それが、その会社の本当の
素顔だと私は思います。利益をもたらす人に笑顔を見せることなど中学生でも
やります。まったくの利害関係ではない人に見せる態度が、本当の姿なのです。
悪い印象は噂となって広がりますが、いい印象はいつまでもその人の心の中に
ズッと残るものです。最初の正面が、その会社の素顔だと私は思います。
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山本祐一
| 1956年 茨城県神栖市波崎生 |
| 1975年 銚子商業高校卒業 |
| 1979年 専修大学商学部卒業 |
| 1987年 監査法人トーマツ退社 |
| 1987年 山本会計事務所開業 |
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